Ping値はオンラインゲームの回線状況を表す上で重要な値となり、射撃の行いやすさに大きく影響するため、FPSゲームにおいては重要な要素です。
通信環境が良いほどPing値が小さくなり、ネットゲームを快適に遊べるようになります。
今回は、Ping値が大きくなる原因に加えて、処理落ちを解決する方法について詳しく説明していきます。
目次
Ping値とは?
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Pingは元々はソフトウェア名でしたが、Pingコマンドを使って得た値が通信の遅延となるため、Ping値と呼ばれるようになりました。
Ping値の単位はmsで表され、値が大きければ大きいほど情報の伝達が遅れるため、処理が遅れて画面がカクつき始めます。
通信速度に反比例してPing値が小さくなっていきますが、処理速度が遅いと意味がないため、CPUやGPUの性能も考慮しましょう。
適正なPing値の目安
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一般的な用途で適正なPing値は50未満と言われていて、50以上ある状態では通信の遅れが目立ち始め、100を超えると操作に支障をきたし始めます。
ただし、FPSゲームにおいては少しの遅延でも戦績に響くため、Ping値をなるべく小さくした方が良いです。
オンラインゲームにおいては、1秒間に60フレームの映像が流れることが多いため、Ping値が15以下であれば遅延を1フレームに抑えられます。
光回線やルーター周辺の通信環境を改善することで、Ping値が常時15以下になるようにしましょう。
評価 | Ping値 |
非常に速い(◎) | 1~15ms |
速い(〇) | 16~30ms |
普通(-) | 31~50ms |
遅い(△) | 51~100ms |
異常に遅い(×) | 101ms~ |
接続が遅いと起こる症状(FPSゲーム)
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通信状態が分かるFPSゲームでは、接続状態が悪くなると、Ping値が赤く表示される現象(赤ピン)が最初に発生します。
Ping値が大きくなってからしばらくすると、敵がワープすることがあり、思った通りに射撃を行えません。
フォートナイト等の建築ができるFPSゲームだと、建築完了にタイムラグが発生し、建築操作も思うように行えません。
最終的に赤ピンの状態が長く続くと、最悪の場合はサーバーから追い出されることもあります。
通信状態 | フォートナイトの場合 | PUBG(スマホ版)の場合 |
黄Ping(黄ピン) | 通信状態が悪い | 121ms~300ms |
赤Ping(赤ピン) | 通信状態が非常に悪い | 301ms~ |
オンラインゲームでラグが発生する原因
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オンラインゲームでラグが発生する主な要因は主に下記の3つです。
- 光回線
- ルーターの接続環境
- LANケーブル
プロバイダー等のネット環境だけでなく、ルーターやパソコンの性能に関しても、処理落ちを防ぐために非常に重要な要素です。
通信環境を徹底的にチェックすることで、通信速度が遅くなるような問題点が無いか確認しましょう。
ハードウェア起因
ハードウェアの面においては、LANケーブルの接続状況によって通信速度が大きく変動するため、LAN規格を確認した上で有線接続を行いましょう。
有線接続ではない
ノートパソコンやゲーム機では、LANケーブルを繋がなくても接続を行えるため、Wi-Fi接続にしてしまいがちです。
Wi-Fi接続は、LAN接続よりも通信速度が遅い上に、通信が不安定になりやすいといった問題があります。
ゲームルーターにおいては、通信速度が速くて混線しづらい5.0GHzのWi-Fi接続もありますが、それでもLANケーブルの通信性能に及びません。
オンラインゲームのPing値にこだわる人は、スマホ以外の機器を全てLANケーブルで接続するようにしましょう。
LANケーブルの接続環境による最大通信速度の低下
LAN接続はWi-Fi接続よりも通信速度が速いと言われていますが、接続環境によっては逆に通信速度が遅くなることがあります。
通信速度がカテゴリーによって圧倒的に異なり、カテゴリー6Aが10Gbpsあるのに対し、カテゴリー5だと100Mbpsしかありません。
カテゴリー5のLANケーブルを接続してしまうと、LANケーブルがボトルネックとなり、最大通信速度が低下してしまいます。
また、カテゴリー6Aの製品は中継アダプタを使うと性能が低下するため、なるべく延長コネクタは使わない方が良いでしょう。
カテゴリーが大きいほど良い訳ではなく、カテゴリー7以上の製品は取り扱いが難しいので、カテゴリー6Aの製品を選ぶようにしましょう。
カテゴリー | 通信速度 | 帯域 | シールド |
5 | 100Mbps | 100MHz | 無 |
5e | 1Gbps | 100MHz | 無 |
6 | 1Gbps | 250MHz | 無 |
6A | 10Gbps | 500MHz | 無/有 |
7 | 10Gbps | 600MHz | 有 |
7A | 10Gbps | 1000MHz | 有 |
8 | 40Gbps | 2000MHz | 有 |
ルーターの性能の限界による通信の遅延
Ping値を低くする上で欠かせない装置がルーターであり、製品によって通信速度や安定性が大きく異なります。
ルーターによってWi-Fi速度が異なり、安物のルーターが867Mbpsしかないのに対し、ゲーミングルーターの中には4804Mbpsある製品も存在します。
ゲーミングルーターは、アンテナが外付けになっている製品が多く、通信の安定性も一般的なルーターより高いです。
スマホゲームに熱中している人は、ルーターがボトルネックにならないように、通信速度が1Gbps以上あるゲーミングルーターを選ぶようにしましょう。
PCやゲーム機器の性能の限界による通信の遅延
処理性能はPing値とは直接的な関係は無いですが、処理が遅いとPing値が大きい場合と同様の症状を示すため、CPUやGPUの性能も重要です。
通信環境を整備してPing値を下げたのにも関わらず、画面のカクつきが目立つ場合は、CPUやGPUの性能不足を疑ってみましょう。
PCはCPUやGPUを変えられますが、ゲーム機器は処理性能を高められないため、PC以外の製品では処理速度がボトルネックになりがちです。
ネットワーク回線環境起因
ネットワーク回線により通信が遅延する原因は、下記の3つの要因が考えられます。
- インターネットの利用者の増加
- 光回線のサーバーの混雑
- 光回線以外の通信方式を使っている
通信方式は通信遅延に非常に大きな影響を与えるため、必ず光回線を使いましょう。
光回線が共有されている(マンションタイプ)
マンションで使われる回線のタイプとしては、次の3つに大きく分けられます。
- 光回線方式
- VDSL方式
- LAN配線方式(集合住宅向け)
古いマンションで広く使われているVDSL方式は、ADSL方式と同様に電話線を使っているため、光回線よりも圧倒的に通信速度が遅いです。
1Gbpsの光回線であっても、マンションタイプの配線は32分岐されていることが多いため、利用者が多い夜の時間帯では数十Mbpsしか出せない場合があります。
新しい光回線に切り替えると2重に料金が発生することがあるため、通信速度にこだわる人は、インターネット「対応」のマンションを選びましょう。
光回線のサーバーの混雑による通信速度の低下
プロバイダーが提供するサーバーの処理能力には限界があり、提供されるサーバーが混雑すると通信速度が落ちます。
フレッツ光は光回線利用者の6割を占めるため、サーバーが混雑しやすく、夜になると通信速度が落ちるといった口コミが多いです。
一方で、利用者数が多いものの独自の回線を利用したauひかりや、利用者数が少ないNURO光は夜でも通信速度が落ちづらいです。
特にNURO光は、他の業者と異なり通信速度の上限が2Gbpsと速いので、FPSゲーマーにもおすすめできます。
インターネット利用者の増加による通信速度の低下
ルーターや光回線等の通信環境が整っていても、インターネットの利用者が増えるとラグが生じることがあります。
平日や休日のどちらにおいても、夜9時にインターネット利用者がピークとなるため、夜の8時から10時にオンラインゲームを行うのは避けましょう。
24時から明け方までの利用率が低いため、仕事などに支障が生じない場合は、深夜帯にゲームを行うのがおすすめです。
光回線ではない(Wifi,ADSLなど)
光回線はADSLよりも圧倒的に速いため、ほぼ全ての世帯に供給されているイメージがありますが、まだ7割程度しか普及していません。
意外なことにインターネットに強い若者でも、光回線を使わずにテザリングで済ませている人が多いです。
モバイルルーターもルーターに含まれますが、光回線ではなくWi-Fiであるため、数百Mbps程度しか出せません。
通信速度にこだわるゲーマーであれば、通信速度の速い光回線を使っていると思いますが、4GやWi-Fiを使っている人は早急に光回線を使いましょう。
サーバーまでの物理的な距離による通信の遅延
光の速度は無限ではなく、平常時でも30万km/sと有限であり、光の屈折等の現象により20万km/sまで落ちます。
ブラジル等のサーバーに情報を届ける時は、往復でおよそ4万kmの距離があるため、少なくとも200msもの遅延が生じます。
実際にフォートナイトでブラジルサーバーを選ぶと、300ms以上の遅延が生じてまともにプレイできません。
ただし、自動的に通信状態が良い地域に接続されるため、サーバーによる遅延は考えづらいです。
設定起因
NURO光のONUをそのままつなぐと、2重ルーターになり通信速度が落ちてしまうため、ONU側のルーターをOFFにしておきましょう。
NURO光のONUにより2重ルーターになっている
ソニーのNURO光は非常に速度の速い光回線であるため、コアゲーマーにとって人気が高いですが、ONUの部分に意外な落とし穴があります。
NURO光のONUはルーター一体型となっていて、デフォルトの状態でルーターを接続すると、2重ルーターになり通信速度が落ちてしまいます。
2重ルーターの状態では、NURO光の通信速度の速さを活かしきれないため、必ずONUの接続設定を確認しましょう。
その他
周囲にある電化製品から生じる電波と干渉する可能性があるため、ルーターを使う時は必ず干渉しづらい5GHzに設定しておくのがおすすめです。
電子機器から発生する電波と干渉している
通信機器では、電波の干渉を防ぐために複数のチャンネルを用意していますが、周辺に何個も情報機器があると干渉が生じる場合があります。
特に電子レンジから発せられる電波が強いため、電子レンジを動かしている間は、通信に不具合が起きる可能性が高いです。
マンションに住んでいる人は、周りの部屋にもルーターや電子機器が置かれているため、電波が干渉してうまく通信が行えなくなる場合があります。
Ping値を小さくする方法(PC編)
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PCにおいて、Ping値を小さくするのに効果的な方法は以下の3つとなります。
- 光回線の業者を変えてみる
- 通信速度の速いルーターやLANケーブルを接続する
- PCのGPUやCPUを変える
Ping値を抑える上で、一番効果的な方法が回線業者を変えることで、場合によっては桁違いに通信速度が速くなります。
通信速度が速い光回線業者に変える
ルーターだけでなく、光回線の業者によっても通信速度や安定性が重要となるため、光回線業者選びも重要です。
利用人数が多いフレッツ光は、夜になるとサーバーが非常に混雑し、通信速度が大きく低下してしまいます。
マイナー過ぎる回線業者も、通信速度が不安定になりがちなので、ある程度知名度の高い業者を選びましょう。
NURO光であれば、最大で10Gbpsのコースがある上に通信の安定性も高いため、FPSゲーマーはNURO光がおすすめです。
カテゴリーの数値が大きいLANケーブルを接続する
LANケーブルは通信速度に大きな影響を及ぼしますが、意外と通信環境の整理において見落とされがちです。
カテゴリーの低いLANケーブルを接続している場合は、LANケーブルを変えただけで、飛躍的な通信速度の向上が見込めます。
通信速度が1Gbpsあれば快適にゲームをプレイできるため、カテゴリ5e以上あれば十分でしょう。
高性能なゲーミングルーターを接続する
速い光回線を導入できたとしても、低性能なルーターだと無線の通信速度が1Gbps未満となるため、ルーターがボトルネックになってしまいます。
ゲーム機やパソコンは有線LANで対処できますが、スマホはWi-Fiしか接続できないため、スマホゲームを快適にプレイできません。
スマホゲームを長時間行う人は、2Gbps以上の通信速度を持つ、高性能ゲーミングルーターを選ぶようにしましょう。
PCのCPUやGPUを入れ替えてみる
新しいゲームになるほど要求性能が上がっていくため、古い物を使っていると処理落ちが目立つ場合があります。
最近のGPUはCPUよりも進化が速い上に、お金をかけないと高性能なGPUを乗せられないため、画像処理性能が不足しがちです。
通信環境を変えても画像の処理落ちが目立つ場合は、まずはグラフィックボードを差し替えましょう。
GPUを変えてもカク付く場合は、CPUも変えてみる必要があります。
ONUのルーター機能をOFFにする
NURO光のONUは通信速度が速いですが、ルーター機能が付いているため、2重ルーターになってしまい通信速度が低くなることがあります。
2重ルーターを解消するためには、ルーター側の接続を切る方法と、ONU側のルーターを切る方法の2種類があります。
ゲーミングルーターの方が通信速度が速いため、ONU側のルーター機能を切るようにしましょう。
ルーターのゲーム専用帯域を利用する
混線により通信速度が低下するケースは、他のケースよりも少ないですが、周辺に通信機器が多いマンションであれば起こりえます。
ゲームルーターの中には、ゲーム専用の帯域やLANポートが整備された物もあり、通信の安定性が改善される場合があります。
もし、ゲーミングルーターの5GHzを利用しても通信が不安定な場合は、ゲーム専用帯域を有効活用しましょう。
携帯ゲーム機やスマホで通信状態を良くする方法
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ゲーム機やスマホにおいて、通信遅延を小さくするのに効果的な方法は以下の3つとなります。
- ゲーム機でも有線接続を行う
- アプリの設定や稼働状況を変えて処理を軽くする
- DNSの設定を最適化して通信遅延を小さくする
ゲーム機にもLANポートが搭載されていて、有線接続することで通信性能を大幅に上げられるため、必ず有線接続を行うようにしましょう。
ゲーム機の場合は有線LANの接続を行う
パソコンでは有線LANの接続を行っている人が多いですが、ゲーム機では有線LANの接続を怠りがちです。
ゲーム機の接続を4GやWi-Fiで行っている場合は、有線LAN接続を行うことで通信速度を大幅に上げられます。
ルーターとゲーム機を離してしまいがちですが、LANケーブルが長いほど通信が不安定になるので、LANケーブルの長さも短くするようにしましょう。
ゲームの設定を変えて処理を軽くする
フォートナイトやPUBG等のFPSゲームでは、リプレイ機能を無くすことで、負荷を下げて処理落ちを防ぐことができます。
リプレイ機能以外に処理を軽くする方法としては、画質を下げるという方法が有名ですが、ゲームの楽しさを損なうのでおすすめできません。
ゲームの設定による処理速度の改善には限界があるため、古いスマホを使っている人は新しい機種に変えた方が良いでしょう。
スマホの場合はバックグラウンドアプリを停止する
Androidスマホの場合は、パソコンと同様に複数のタスクをこなせますが、バックグラウンドアプリが多いとメモリ不足で動作が重くなります。
バックグラウンドアプリを消去するだけで動作が軽くなるため、ゲームアプリを行う時には使わないアプリを停止するようにしましょう。
iPhoneにおいては、基本的にシングルタスクとなるのであまり効果はありませんが、Androidよりも動作が軽いため大きな問題となることは少ないです。
DNSを手動にしてアドレスを自宅のルーターに設定する
DNSを自動にすると通信が最適化されないことがあるため、手動で設定すると通信速度が上がる可能性があります。
Googleのアドレスにした方が良いという考える人もいますが、距離が離れているため、逆効果になる場合が多いです。
DNSをゲーム機から最も近いルーターに設定することにより、通信が最適化されるため、自宅のルーターのアドレスを設定するようにしましょう。
通信環境を整理してゲームをサクサク遊べるようにしよう
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今回は、通信速度が遅くなる原因に加えて、処理落ちを解決する方法について詳しく紹介しました。
Ping値が上がる原因を1つ潰すだけで、通信速度が桁違いに上がる場合もあるため、速度の影響が大きい回線業者やLANケーブルは必ず確認しましょう。
ルーターやPC等も高性能な物を選ぶことで、遅延なく快適にオンラインゲームをプレイできるようにしておきましょう。